猫とワタシ

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創作文芸サークル『a piacere』の活動状況など

この記事のみを表示する同人誌感想(2020年・その1)

同人誌感想

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年始にブログ更新したのを忘れてまた「明けまして…」などと書きかけてしまった^^;
最近月一程度しか更新していなかったもんな…

というわけで(?)、今日は同人誌の感想を書きに参りました!!
服部匠さま著 『蒼衣さんのおいしい魔法菓子』という本についての感想です!

まずは、この表紙を見てください… プロ味しかないんですけど…!!!
中にもこの表紙の背景のみのカラーイラストがあって、お店のイメージにぴったりで
すげえ…ってなりました。
ちなみに物理的な面ですごく好きだったのが、カバーの手触り。めちゃ持ちやすくて
気持ちいいです。

で、内容なんですが。
魔法菓子専門店『ピロート』というお店を経営する男性二人と、そこにやってくる
お客さんの日常の色んな悩みや気持ちを、お店の魔法菓子がふっと軽く癒してくれる…
という素敵な短編がいっぱい詰まっていて、なんというか、読んでいるうちに自分も
ピロートのお菓子で癒されているような気持ちになってくる、すごく素敵な作品でした。
色んな人が出てくるのですが、それぞれの日常の中にある、ちょっとした、だけどその人に
とってみてはとても重大なことをひとつひとつ丁寧に書いてくださっていて、「分かる…」とか
「なるほどなぁ」みたいな気持ちになりながら読ませていただきました。
服部さんは、人の感情を描くのがすごく丁寧で読者に寄り添った文章を書かれる方なので、
登場人物のどの人にも感情移入してしまいます。
反目しあう二人がいても、決して片方により過ぎず、どちらの思いも汲んで、うまく収拾して
くださるところがとても気持ちいいです。
魔法菓子という、現実の中にちょっとした不思議のスパイスが隠れている、という設定も
すごく好きで、全部が魔法みたいに解決できなくても、そっと背中を押してくれる隠し味の
ように機能しているところがめちゃくちゃツボです…!! 
その上、お仕事小説としてもすごくきちんとしたものでして、パティシエのお仕事について
はもちろん、蒼衣さんが接客で慌ててるとこなんか、めちゃ分かるわ…パニックになるよね…
とこっちまでドキドキしましたです。(昔行列のできるパン屋で仕事していた経験があるので^^;)
デパ地下出店の話とか、めちゃ興味深かったです。あと、「ふわふわシュークリーム」の
高坂さんや大滝さんが勤めている会社の話もリアルで深く頷きました… わかりみが深い。

蒼衣さんの過去の話は読むのがつらかったです。感受性… そう、感受性って個人差が
あって、なかなか発信した人の重さと、受け取った側の重さが違ったりするんですよね。
しんどくなっていくのも分かります。…でも、助けてくれる人もいるし。
私自身、人に拾ってもらいながら生きてきたところがあるので、人生、結構色んな縁で
回っているところがあるし、そうそう悪いことばかりでもないと個人的には思っているのですが、
蒼衣さんも、周りに自分の味方がいてくれて、そういう人たちに助け助けられながら生きて
いけるんだと気付いて、新しい道を見つけられてよかったなぁと素直に思いました。
八代さん、めちゃ気持ちいいやつですよね~!!! 奥さんはこの人を選んで大正解や~ん、
と思いましたです(笑) 
蒼衣さんと八代さんの関係も、べたっとしてなくて、でもお互いをしっかり思いあってて
理想ですよね。 こういう人間関係、なかなか難しいけど憧れます…!!!!

いやはや…なんというか、すごく優しく(作者さまに)エスコートされながらするするっと読めて、
自分まで癒された気分になれました。 ピロートというお店にぴったりの作風だし、魔法菓子と
いう設定にもぴったりの、とても心地よくて元気になれる作品でした。

服部さん、素敵な物語をありがとうございました!!!!

この記事のみを表示する同人誌感想2019 その1

同人誌感想

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こんにちは!
5月が暑すぎて一瞬死にましたが、その後涼しすぎてびっくりしているまりもです。
猛暑を呪い過ぎたせいだろうか…ごめんよ夏… と勝手に反省しているところですが、
どうせ梅雨明け辺りから暑くなるんですよね~? うん、知ってる。。

久しぶりに同人誌感想をお届けします。
今回は、鴻鵠ブラザーズさまの化学物質過敏症に関する三冊についてです。


鴻鵠ブラザーズさま著 『KillerMCS & 化学物質過敏症 その原因と症状、治療法』
鴻鵠ブラザーズさま編 『カナリアのとなりに』
松岡おまかせさま著 『ある日とつぜん化学物質過敏症』


この本は、イベントでいつも仲良くしていただいている森村直也さんから頂いたものです。
「文学フリマ」などでは頒布されておらず、多分コミケ等のイベントで入手できるのではないかな…。
実はこの三冊、読んだのはかなり前になるのですが、感想が難しくてずっと書けないままでした。
化学物質過敏症とは、日常で使われている化学物質が自律神経へ作用して呼吸ができなく
なったり、頭痛、眩暈、平衡感覚の低下、その他いろんな症状を引き起こす病気(病気というのも
難しい線引きみたいですが、ここでは便宜的に使わせていただきますね)です。
間違われやすいようですが、アレルギーとは違うのですね。

日常で使われている化学物質。
実のところ、ここ数年、私もそういうものが気になるようになっていました。
一番気になっていたのが、近頃各社が競うように出している、香りが売りの
洗剤や柔軟剤の匂い。
家に遊びに来た息子の友人たちの服から漂う洗剤、もしくは柔軟剤の匂いが
強すぎてですね。その残り香で、誰が家に来たのかすぐに分かるくらいです。
しかも、数日間は残り香が部屋から消えずに残っているという…。
服を着ている本人は、こんなに強烈な匂いを日々身にまとって暮らしているのか…
こんなに強い匂いに日々晒されて、しんどかったり息苦しくなったりしないのかな、と、
ちょっと不思議なくらいでした。
でもね、匂いっていうのは、慣れてしまうとわかんなくなりがちなんですよね。
匂いのきつい商品を使うと、消費者は慣れて鈍感になる。だから、成分はますます
強くなっていくのかもしれないですね。

…と、横道に逸れましたが。
この本で、そういう商品によって日常生活を送るのも困難になってしまった方がいらっしゃる、
ということを知りました。
この本を制作した武濤さんは、化学物質過敏症の当事者でもあるのですが、きっと、こういう
現状があることを知って欲しい、と思って書かれたのだと思います。
だけど、「化学物質」というものは、「毒」という形で存在しているわけではなく、みんなが
日常的に使っている日用品に使われているものなのです。
煙草、洗剤、柔軟剤、消臭スプレー、殺虫剤…などなど。
身近に使っている日用品を使うな、というのは、なかなか難しい。難しい、というジレンマ。
当事者の立場としては、本当に命に関わるくらいの困難を抱えていらっしゃるのだから、
本当なら声を大にして「これもこれも、使わないで欲しい!!命に関わるので!!!」って
おっしゃりたい気持ちもあるんじゃないかなと思います。
けれどこれらの本は、どれも非常に抑制の効いた文章で、日用品としてそれらの物質を
使っている私たちに向かって、現実を丁寧に細かく説明することに徹しています。
色々な思いがあると思いますが、これほどに理性的にものを書かれるのは、症状もなく普通に
暮らしている私たちのほうに寄ってくださっているということ。
本当に頭が下がる思いです。

症状のない人間は、実際にそのつらさを体感することはできないのですが、そこをおぎなって
くれるのが「カナリアのとなりに」という本に寄稿された、武濤さんのお友達の皆さんの文章です。
この本には、実際に発症された方に接した人たちの戸惑いや思いが素直に綴られています。
周りにいる人たちの、どうしたらいいかわからないという無力感や迷い、試行錯誤。それなら
私にも理解できるし、周囲の環境とご本人との間にある葛藤や思いやり、そういうことも分かります。
実際、この病気はなかなか理解されにくく、誤解や無理解から心無い言葉を浴びせられることも
あるようです。化学物質過敏症からくる症状を直接和らげることはできないかもしれないけれど、
今直面している困難を知ることによって、少なくとも、誤解からくる辛さを無くすことはできる。
そして理解が広がっていけば、ご本人がもう少し「抑制」を外して、「こうして欲しい」という言葉を
投げかけることができる世の中になるかもしれない。していかなければならない。
そんな風に思いました。

あと、やっぱり「使わないようにする」のは大事ですよね。。
私もしんどいな、と思うことはあるし、そう感じたものは使わないようにしているのですが、
日常で何を使うか、ということについて、もう少し敏感でいようと思いました。

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あっ、さっきの写真に載せられなかったのですが、こういう、お洗濯ガイドも頂いております!!
私が時々、柔軟剤や煙草がしんどいと言っていたので、気遣ってくださったのかな。
森村さん、何から何までありがとうございます~ヽ(;∀;)ノ

と、ここまで書きましたが、やっぱり難しいですね(>_<)
結局のところ、感想というのは自分の主観でしかものを書けないので…
こういう本について何かを書くことは色々と不安なんですが、何か勝手な解釈をしていたり、
誤解を招くようなことを書いてしまっていたら申し訳ないです。

…そうそう。
最後になってしまいましたが、この本、内容もさることながら、絵がめちゃくちゃ素敵でして!!
そういうのもお楽しみいただけるんじゃないかなぁ!!!!!! 
表紙の絵だけ見てもお分かりだと思うんですが、ほんとカッコイイ…!! 惚れますよ~(*^ω^*)v

この記事のみを表示する同人誌読書感想2018(その3)

同人誌感想

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こんにちは!
前回、年末のご挨拶をしそびれたので、舞い戻ってまいりましたー♪
このブログを読んでくださっている方は、多分100%趣味方面、
特に文芸関係の方だと思います。今年もたくさんの方にイベントなどで
お会いできて嬉しかったです!! 本当にありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
皆様のご健康と、来年のご活躍を心よりお祈りいたします(^▽^)ノ

************

…と書きましたが、話はまだ終わりません(笑)

今年最後の更新が年末の挨拶だけでは悲しいので、同人誌感想をお届けします。
あずみ様作、『ワスレナウタ』の感想です。
ちょっと長くなってしまったので、今回は一作だけです。
一応やんわりぼかしてはありますが、ゆるくネタバレしておりますので、
未読の方はお気をつけください。

ではでは、以下にたたんでおきます。
読んで良し! という方のみ、下へスクロールで、よろしくおねがいします~。





この記事のみを表示する同人誌読書感想(2018) その2

同人誌感想

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↑暗いところで撮ったらボケてしまった…すみません(>_<)


こんにちは!
秋も深まり、ご飯のおいしい季節がやってきましたね!
一年を通して基本ヘタレなまりもですが、厳しすぎる夏が終わり、
少し元気を取り戻しております。 食べ過ぎて体が重い…です…

自分の原稿に絶望したり、自分の原稿に殴られたりして
もたもたしておりましたが、感想第二弾を書きました~。
相変わらず買った時期も場所もバラバラです。


ではではどうぞ!!

**********

柳田のり子さま 『翼交わして濡るる夜は』
 
登場人物がそれぞれ真面目でまっすぐで、お互いを大切に思いあっているのに、
すれ違うもどかしさなどが丁寧に書かれていて、とても繊細な作品でした。
どの人も感情豊かなんだけど、その中で七瀬くんがすっと白鷺みたいに(※イメージです)
完璧っぽい感じがするのが印象的でした。前作では彼の主観で書かれていたから
忘れがちになってたんですが、考えてみたら、七瀬くんって心も体もイケメンだったですね!
ところで、私、この作品に出てくる熊本弁の部分のアドバイスをさせて頂いたのですが、
結構どっぷりとした熊本弁になってまして(笑)
全篇通して読んでみたら、方言はスパイスっぽく時々出てくる感じだったので、読みにくく
なっていなくてホッとしました^^; 台詞が全部熊本弁だったらちょっときつすぎたかもしれません。
もちろん単独でも読めますが、『贋オカマと他人の恋愛』の後日譚という見方もできますので、
先にそちらを読んでから読むとすごく楽しめると思います~♪
(読み終わってから、そちらも思わず読み返してしまいました)


田畑農耕地さま 『忘れえぬ生涯』

テキレボアンソロの作品を読んで面白かったのと、表紙がとても素敵だったので
入手しました。 買って損なし!! どの作品もめっちゃ面白かったです。
ストーリーはもちろんですが、文章が気持ちよくてとても好き。ブラックなオチが
多めですが、どの作品もそのブラックさに納得というか、スカッとさせてくれるところが
あり、そこがたまらないです。
テキレボのお買い物代行で入手した作品だったのですが、大阪でも田畑さまの新作を
入手できました!
楽しみに読ませていただきます~♪♪


孤伏澤つたゐさま 『海嶺谿異経』

どの作品も、作者さまにしか書けない独特の世界が広がっていてドキドキしました。
深海と宇宙、どっちかに行けるとしたらどっち? って聞かれたら、私は迷わず深海派
なんですが、この本を読むと、ますます光の届かない海の底の世界が魅力的に感じてきます。
人の手の及ばない静謐な闇の中に棲む生き物たちのミステリアスな姿や生態には、
神話のような、遠い憧れのような物語がとても似合いますね。
表紙デザインも、作品ごとにフォントを変えてあるところも、とても好きです。


葛野鹿乃子さま 『カンテラを灯す夜』

子供のころに読んだ童話のように優しく美しく懐かしい文章でありながら、
『死』にまつわるひんやりとした読後感はビターで、そのバランスがとても
いいなぁと思いました。
ひとつひとつのお話が最後の『幽か』という作品にぎゅっと収斂されていく感じが
好きです。
挿絵も、どこか懐かしいタッチがめっちゃ好き(*´ω`*)
表紙、文章、作品世界がぴたっと合って、物理的にも内容的にも美しい仕上がり
の本だな、と思いました。 こういうマッチングの妙は、紙の本ならではの
醍醐味ですね!
手元において、ひとつひとつのカンテラをゆっくり眺めたくなる作品でした。

この記事のみを表示する同人誌読書感想(2018) その1

同人誌感想

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みなさまこんにちは!!
体力がなさすぎて、近頃は暇さえあれば眠っているまりもです。
休眠期なのか…な…_:(´ཀ`」 ∠):_
(もはや人間ではない別の何かの生活リズムで生きている…のかもしれない)

いや、それではいかんと思い、死にかけた脳細胞を奮い立たせて
原稿を直したり、感想を纏めたりしております…
お仕事が今、そんなに忙しくないのでね…割と時間が取れるのが
ほんと、ありがたいです…(その分お給金は少ないけどな…w)

というわけで、久しぶりに読書感想をお送りします~。
思えば随分書いておりませんで…。
入手時期はバラバラです。自分でもどこで手に入れたのかあまり
記憶が定かではなかったりしますので、もう順序などは気にせず、
感想を書けたものから順に上げていきます。(すみません汗)
短編作品から先に読む傾向があります。
長編作品はどうしても後になってしまうと思います。
申し訳ありませんが、ご了承くださるとありがたいです。


今回は2018年の第一弾です。
今後も折を見て4、5作品ずつアップしていこうと思っています。
あまりくどくど書くのもあれなんで、今回は比較的あっさりと書くつもりです。
(いつも戦利品写真を上げないため、読了報告も兼ねております)
今後の更新につきましては、ツイッターなどで都度お知らせをさせてもらいますね^^


*****************

春木のんさま 『睡魔という仕事』

何年か前に睡魔さんの折本を読んで、やんわりと艶っぽい雰囲気や設定が
素敵だなーと思っていたのですが、今回新たに睡魔さん本が出ていたので
迷わず入手しました!
眠りというものはままならないもので、眠たかったり眠れなかったり。
生活の中で切実なものであるのと同時に、安らぎを与えてくれるものですよね。
眠っているとき、そばで睡魔さんが寄り添っていてくれるというイメージは、「眠り」
がもたらす優しく包みこむような安心感を象徴していて、素敵だなと思いました。
「睡魔さん」は男性のイメージなんですけど、「夢魔」が女性の姿をしているという設定に
すごく興味を引かれました。
夢魔さんサイドがどんなお仕事をしているのかも、気になるところです。


まるた曜子さま 『庭常のサフトに小指をひたして』

ジャンルバラエティに富んだ短編集でした。表紙カバーの色合いと紙質がとても素敵。
色んな物語がありましたが、SF(『あなたのとなりで』)、すごいですね。私、ああいう作品を
書ける人を本当に尊敬します。
リアルな科学の先にある世界って、知識がないせいもあるとは思いますが、本当に
まったく想像できなくて……。すごいです。
明るいキャラが多いというか、いじけたところがなく、気持ちのいい登場人物が多かったです。
悩んだり、どんなに過酷な環境に置かれていても、前を向いて進んでいく、強さ逞しさが
とても鮮やかで、印象に残りました。
(追伸。300字SS『高度に横滑りした仲良しはBLと見分けがつかない』が可愛くて好きw)


凪野基さま 『ホクスポクス』

ナギノさんの短編集! 表紙がめちゃ可愛い~!
ナギノさんも凄腕のSF書きさんですが、「ぼくの、ヒーロー」のフランツが、以前読んだ
フランツとちょっと違って(?)ノルンに鼻の下を伸ばしてた(エリク談)とこが…ッ!!!!
…いや、いいんです。いいんですよ? フランツも人間ですもんねッ…!!
(何となくエリクに共感した人 笑)
…とかいう話はどうでもよくてw 
ナギノさんの物語って、とても設定や情景が緻密で、まず先に「世界」があって、その世界の中で
キャラクターが生きている、という感覚で読めるのが特徴的だな、と思います。絵でたとえると、
すごく細やかな背景があって、その中で生き生きと暮らす人のリアルが描かれているという感じ。
ここではない色とりどりの世界を旅するような気持ちで、物語を楽しませていただきました~!


永坂暖日さま 『においのゆくえ』

表紙とタイトルが気になって購入しました。これは、いいですねー!買ってよかったです。 
どの作品もすごく人間らしくて好きです。特に『虜囚』が好き。 人生を賭けた一途な恋、
という見方もできるはずなのですが、「美しい初恋」ではなく「妄執」という言葉を使うところが
最高に好きです。なかなかこういう風な書き方をする作品ってないんじゃないかな。
でも、恋って基本、独りよがりなものだと思うし、言うほど美しいものではないと思うのです。
人の未練って、なかなかに厄介で、扱いにくいものなんじゃないかと思います。