猫とワタシ

Wandering Note

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この記事のみを表示する空想のまちアンソロジー☆感想祭り!!

文芸イベント関連

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今春参加させていただいた象印社・くまっこさま主宰の空想のまちアンソロジー
「ぼくたちのみたそらは きっとつながっている」を読了しました!
本当は今年4月の本の杜7が初売りだったのですが、私は5月に開催された文フリ東京で
受け取らせてもらいました。ツイッターで時々くまっこさまの本作りの過程を拝見していたのも
あって、実際に本を手にしてみると、感激もひとしおです。特に、箱が…手作りの箱がっ(感涙)!!
箱の丸くくりぬかれたところから可愛い女子二人がこっちをチラッと見ている感じが絶妙で!!
狙ってたんでしょうか、このデザイン。それとも、できたイラストから箱のデザインを決めたのかな?
どっちにしても、素晴らしいです~(>∀<)!!!
あっ、栞を付けてくださったのもすごくありがたかったです。自立するぐらい分厚い本なので。


この本には「空想のまち」というキーワードに加え、そのまちが存在する「世界」を参加者皆で
共有するという、独特のルールがあります。それは、「人々は生まれた町に守られて、その中で生涯を暮らす」
「他の町へ行くバスに乗るには、法外なお金がかかる」「限られた少数の人々が町と町を行き来し、
それぞれの町は細々と交流をしている」といったものです。このルールの中で、参加者はそれぞれの「まち」を
作っています。
最初にこの企画を聞いた時にはどんな本に仕上がるのか想像できませんでしたが、蓋を開けてみると、
他にはない面白い本になったなぁとびっくりしました。
このアンソロジーには14人の書き手が参加していて、それぞれの町は参加者各人の個性で書かれて
いるのに、全部読んでみると不思議な一体感を感じます。たとえて言うなら、一冊読んでしまうと、
まるで一つの世界をぐるっと一回りしたような充実感を得られるというか。それは、この本を作るに当たって
決められたルールを皆が共有しているからなのだろうな、と思いました。
それぞれが自由に書いているのに、どこか繋がっている。そこが、ひとつひとつの作品が持つ力の上に、
更なる魅力を付与してくれています。
くまっこさんが作品タイトルに「ぼくたちのみたそらは きっとつながっている」という言葉を選ばれたわけが、
読んでみてすごく分かるような気がしました。

私は結構早いうちにこの本に寄せる物語を書いてしまっていたのですが、本当なら、もっと他の参加者の
皆様と設定を刷り合わせたりして、お互いの町をお互いの話の中に登場させられたりしたらよかったな~と
思いました。なかなかそこまでの余裕が持てなかったのが、参加者としては少し心残りなところかも
しれません。次回がもしあるならば、他の方の書かれた町との絡みがあるお話を書いてみたいなぁと思いました!


というわけで。
ここからは自分以外の作品についての個別の感想になります。
出来るだけネタバレ回避の方向で書くつもりですが、問題があれば、教えてくださったらありがたいです。


******


蛍町の祭日 青波零也さま

蛍の飛び交う、幻想的な美しさが際立つ町でした!キャラの立った人物、言葉の端々からのぞく
それぞれの人々の過去や気持ちなど、本筋以外にも思いを馳せることのできるさりげない工夫があり、
それが物語の奥行きを感じさせてくれて、わくわくと楽しく読めました。
世津路さんのお話と微妙にリンクしてるところが粋で素敵でうらやましかったです!



箪笥町 南野風文太さま

箪笥職人の町。蛍町も私の作品もそうですが、この本には職人が多数登場します。やはり閉じられた
町という設定なので、それぞれの熟練の技を磨く、という方向に行くのかな。
箪笥を作る町なのですが、その本意は単に箪笥を作るにあらず…というところが面白かったです。
素敵な文章が、この町の持つ凛とした雰囲気をよく伝えてくれています。
できたら、これから先の主人公の活躍をもう少し先まで読みたかったなぁ!
玉樟くんの箪笥職人としてのこれからに期待大!!な作品でした。


砂町 マンノンさま

マンノンさんの作品は昨年の方位・羅針盤アンソロでもすごく楽しませてもらったのですが、
今回もどことなくゆるーいマンノン節(勝手に命名 笑)がすごく活きていて、面白かったです。
起承転結のある話ではなくて、生活の一部を切り取ったように書いてあるところがすごくイイ!です。
私は作品にオチを付けたがるタイプなので、こういう作品は新鮮で、面白いなぁと思います。
出てくる食べ物がすごく美味しそうで…そして雪町の、あのお店のコーヒー…!!
食べ物を美味しそうに書くのが私の夢です。(未だ実現できてません^^;)
砂漠の中のオアシスのような町ですが、マンノンさんの作品自体にオアシスみたいな味があるなと思いました。


本の町の見習い司書さん ななさま

ななさんとはツイッターを通して時々お話させていただくのですが、そういう時の印象から、
すごくななさんらしい作品だな、と思いました。主人公が持つ他者への目線の優しさとか、
そういうものをすごく感じます。そういうところにささくれた現代人(=私)としてはすごく癒されます。
本町はすごく住みやすそうな町ですね!リーゼちゃんの作るお弁当がすごく美味しそうで、
私も作って欲しいと思いました(あれっこれ、感想かな…^^;)
個人的に、クライン司書が好みです。(これ感s…(以下略)。
もっとこの人のことを知りたくなりましたので、次の機会があればまた是非登場させてほしいです…!!
(感想というか単なる心の叫びになり、失礼しました…苦笑)


始まりを見に行こう 巫夏希さま

夜町ってことで、ぴりっとダークなお話でした。
この世界の「人々は生まれた町に守られて、その中で生涯を暮らす」というルールの中で
生きるのか、そこからはみ出す人生を選ぶのか、というところに主眼を置いた話なのかな。
自分の見える範囲のものの中で生き、それ以外は知らないままで生きること、それは果たして
幸せなことなのか?という疑問は、ある意味、この世界観のテーマそのものであるのかもしれません。
そこにまっすぐ切り込んだ作品という印象が強かったです。


いつか、かえる 世津路章さま

時間軸も世界観も、スケールの大きい、それでいて可愛らしいお話でした。
「かえる」って、どういうことだろう。世津路さんがあとがきに「自分自身がふるさとと感じる
場所を持たない」と書いていらっしゃいましたが、きっとこの星町はふるさとのようなところ、を
想定して書かれたのかもしれませんね。
人がどこかからやってきて、最後に眠る場所。ふるさとという場所は、大きく言えばそういうところ
なのかもしれないと、このお話を読んで思いました。


Deep Water 久地加夜子さま

雨町の美しさと、その美しさ先に待っている残酷な結末が同居している、とても切ないお話でした。
こういう町のあり方そのものが、このアンソロジー全体に深い奥行きを与えてくれていると思います。
なかなかネタバレしそうなので詳しくは言えないのですが、時間を追って変わっていく雨町と人々、
そこに変わらない様子で訪れる運び屋としての主人公の気持ちがとてもよく伝わってきて、
引き込まれました。個人的にきれいな水のあるところが大好きなので、そういう意味でも
とても魅力的な町でした!


星は叶えてくれない 青山凪紗さま

星見町を時々訪れる「旅人」に感化される少年の物語。「旅人」と、その背後にいる人の目的など、
この世界観に切り込んだテーマをふんだんに盛り込んだストーリーでした。確かに、「親方様」の
ような人はこの世界のどこかにいるような気がします。
たくさんの町の名前が出てきて想像をかき立てられました。「監獄町」は特に、どんな町なのか
知りたくなりました(誰かに書いてほしいです!)



旅の始まり 猫春さま

なんとなく主人公の勤めている会社が現代の雰囲気でもあり、町のつくりの特異性からみれば
ファンタジーっぽくもあり、色々な要素の混じった作品でした。誰も悪くないはずなのに、どこかうまく
いかないストーリー展開は、リアルにもあるような気がして切なかったり…。主人公の最後にたどり着いた
ところから続く未来は、明るいのか、それとも…。こうであると判断をつけがたいところが、この作品の
深いところであるような気がします。


町長選挙 わたりさえこさま

町の雰囲気がすごく好きです。温泉まんじゅうがあるだけで幸せな気分です。
おじさんたちの会話が、微妙に今の日本にもよくある題材だったりして、どきっとします。
若い人たちの変革案や、名前を変えたら何かが変わるかも、みたいな謎の思い込み(笑)に辟易する
ところとか。最後のくだりがすごくリアルで面白かったです。ああいうふうに心にブレーキかけちゃう
経験、あるような気がします。あの後、彼らが現状維持でいくのか、それともあの会話をきっかけに、
何かがちょっとずつ変わっていくのか。二人の心にちょっと波が立った様子が巧みに表現されていて
素晴らしいな、と思った作品でした。


刻刻と 日野裕太郎さま

彫り師を志す見習いの女性の物語。技を習得すること、文化を継承することの難しさと、
それらを志す人々の強さや美しさが印象的な物語でした。
墨町という町の成り立ちの面白さや、先生!と慕いたくなる、厳しい中にも弟子を思いやる
情に篤い師匠がすごく魅力的でした。
一つのものを追求する職人という職業に、否が応にもあこがれが増す、素敵な物語でした。



幡町 宇佐卯楽々さま

昔の名残を残し、今は住む人もなくなった幡町は、美しくてどこか切ない印象でした。
主人公はお父さんが残してくれたチケットで旅をしているのかな。沢山のことは語られて
いませんが、主人公にはどこかにきちんとした生活の礎があって、そこに近いうちに戻って
いくのだろうな、ということが汲み取れるところがよかったです。
くまっこさんの書かれた雪町の「雪」と、SF的な新しい要素が組み合わさり、
物語のような詩のような、静かな印象の作品でした。


世界地図 くまっこさま

くまっこさんが新しく書き下ろしてくださった「地理町」を舞台とする物語です。作中には、
これまでの作品で登場したさまざまな町の名前が登場します。
先生の地図と、主人公の作る地図。先生の秘密はそのまま、この世界の秘密に繋がって
いるのかもしれません。
それを開ける鍵を手にした主人公と一緒に、どきどきしながら開いた先にあるものは…!!
うん、この結末、すごくすごく素敵だと思います!この作品集全体を締めくくる物語としても
最高だと思います。
このお話は、できれば他の町を廻った、一番最後に読んで欲しいなぁと思いました。


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以上、各作品の感想でした。
長文お読みいただき、ありがとうございました☆



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