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この記事のみを表示する同人誌読書感想2018(その3)

同人誌感想

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こんにちは!
前回、年末のご挨拶をしそびれたので、舞い戻ってまいりましたー♪
このブログを読んでくださっている方は、多分100%趣味方面、
特に文芸関係の方だと思います。今年もたくさんの方にイベントなどで
お会いできて嬉しかったです!! 本当にありがとうございました。
良いお年をお迎えください。
皆様のご健康と、来年のご活躍を心よりお祈りいたします(^▽^)ノ

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…と書きましたが、話はまだ終わりません(笑)

今年最後の更新が年末の挨拶だけでは悲しいので、同人誌感想をお届けします。
あずみ様作、『ワスレナウタ』の感想です。
ちょっと長くなってしまったので、今回は一作だけです。
一応やんわりぼかしてはありますが、ゆるくネタバレしておりますので、
未読の方はお気をつけください。

ではでは、以下にたたんでおきます。
読んで良し! という方のみ、下へスクロールで、よろしくおねがいします~。









あずみさま 『ワスレナウタ』

三分冊で頒布された旧版も読了済みなのですが、今回新しく作られた
この本を読んでみて、これは一冊にまとめられて良かったな~と思いました。
旧版と見比べたわけではないですが、最初から最後まで、ひとつの本の中で
読める幸せを感じました。
まず、主人公のジラ嬢の人となりが絶妙すぎて…!
とにかく、内省がめちゃくちゃ深い(深すぎる)。
出自に対するコンプレックスや、周りに溶け込めない自分を責める気持ち
なんかも持ってはいるのですが、同じくらい、努力を重ねてきた自分に対する
プライドも高い人で。周りに左右されない確固とした自己を持っていつつも、
それに奢らず、厳しい目で自分や他者を見つめる客観力も持っている。
そういう謙虚で厳しくて、思いやりの深いジラの目を通して、彼女の生きる
世界や、憧れの存在であるレシカの姿を見ることができる点が、この作品の
一番の魅力なんじゃないかなー、と思います。

で、ポイントは、そのように強い理性で感情を押し殺す傾向が強いジラが
「歌う人」だということです。
個人的に印象的だったシーンは、ジラがミルクロクに「いやみなぐらいうまい」と
言われて、自分の足りないところを悟るところ。
私も歌を習っていたことがあるのですが、そういう経験に照らしてみても、
あれはいかにもジラらしいというか、ほんとめちゃくちゃリアルだな~と思いました。
歌は、「理」が勝っちゃうと難しいというか、「自分」を消さないといけない
ところがあると思うので…。
レシカとジラの歌に違いがあるとすれば、確かにそこなんだろうと思います。
そして、そのジラが歌うシーンが、物語の終盤で出てくるのですが。
(詳しく書くとネタバレしちゃうので、書きませんが、読んだ方なら分かりますよね…?)
街の人たちの前で、ジラがどうしても外せなかった「蓋」を外せるような舞台を、
我が身を使って用意したレシカの気持ちたるや…(泣)
尊すぎませんか…!!!??????
作中でその心中が直接語られることはほとんどなかったレシカですが、
こういうことをやっちゃう人だったのね…と。
そこにあるのはジラを愛しているとかそんなもんじゃなくて、ちょっと信仰にも似た、
美しい気持ち、のような気がします。

『ワスレナウタ』はガールズラブのジャンルに分類されるのかもしれないけど、
私の中ではあんまりそういう印象はなくて、恋愛っていう言葉で括るのも
ちょっと違う気がしています。
世俗の欲からはかけ離れた、純粋な憧れと尊敬の気持ちを互いに持った
二人にしか成し得ない、言葉にできない至高の関係を紡いだ物語なんじゃ
ないかな。

内容的にはもちろん、物理的な面でも細部まで隙のない作りに、本当に
感服しました。
なかなかめぐり合えない物語に出会えて、とても幸せです。
あずみさん、素敵な物語をありがとうございました!!

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